和は天下の達道なり
4月29日に、全国理事会を滞りなく終了し、令和⒋年度の活動が始りました。理事会の後、第58回全国大会の実行委員会も開かれ、活動を開始しました。今年はよほどの緊急事態が発生しない限り、大会は開催するという強い決意でおります。勿論万全の感染対策を調えつつ、会員諸氏の切なる希望である全国大会を、事故なく運営して行かなければなりません。実行委員会は、その意志も能力も十分備えているのですから。
前回新聞「和道流」について言及しましたが、もう少し続けます。それは、「和」の字に象徴される深遠な意味についてです。第一に、和=大和=日本ということです。おだやか、なごやか、のどかの意があり、これには温和、柔和、清和などの語が含まれます。さらに、争わない、平和の心もあります。和解、和合、和親、和同、協和などの語がそれです。ついで、中和、調和、などの語に程よいとの意味もあり、宜しき節度に適う意味もあります。
儒学の古典である『中庸』という書物に、「喜怒哀楽の未だ発せざる、これを中といふ。発して節に中る、これを和といふ。中なるものは天下の大本なり、和なるものは天下の達道なり。中和を致して天地位し、万物育す」とあります。これは人生訓の極北に位置するものですが、武道に志す者にとっても、大きな意味を持つ金言です。「両刃鋒を交へて避くることを須ひず」一旦対決の場に臨めば逃げることはできない。その時に悠々閑々、真の位で臨み、技を出せば発して節に中る、これを和というなら、この金言は正しく和道流の根本理念を表しているといっても過言ではありますまい。新聞「和道流」第二号には、こんな事が書いてあったのです。会員諸氏の大いなる精進を期待しております。
令和4年5月